2013年10月1日からスワン町田店経営主体が一般社団法人ディーセントワールドになりました。

             障害者就労支援センターらいむのブログより転載させて頂きました

本日、10月1日から
スワンカフェ&ベーカリー町田1号店(障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業A型及び就労移行支援事業)、
スワンカフェ&ベーカリー町田2号店(就労継続支援事業A型)の経営主体が、一般社団法人ディーセントワールドに変更となりました。
この度の、経営移行にあたり、旧経営主体である、社会福祉法人ウィズ町田と「スワンカフェ&ベーカリー町田店等の経営移行に伴う社会福祉法人ウィズ町田と一般社団法人ディーセントワールドにおける相互協定書」を交わしました。 前文及び第1条では、経営移行の経緯と目的を次のように確認しています。

(前文)

社会福祉法人ウィズ町田(以下、ウィズ町田という)と一般社団法人ディーセントワールド(以下、ディーセントワールドという)は、これまでウィズ町田が経営してきたスワンカフェ&ベーカリー町田店およびスワンカフェ&ベーカリー町田2号店の事業(以下、スワン事業という)を、2013年10月1日より、ディーセントワールドに経営移行することについて合意した。

スワン事業は、障害のある人を従業員として雇用し、最低賃金保障をめざす事業であり、確実に収益を上げ続けなければ、その目的を達成することはできない。そのためスワン事業の推進には、経営責任者の迅速な意思決定や遂行可能な経営体制への刷新が求められている。 

一方、ウィズ町田は、さまざまな障害のある人たちの労働保障と地域社会での生活の支援を主たる目的とし、さらに障害者総合支援法や障害福祉関連法等の法律や制度の谷間におかれた人たちや、新しいニーズに応える開拓的な福祉事業を担うことを使命としている。

本相互協定(以下、協定という)は、スワン事業の経営刷新に端を発した経営移行に伴う、ウィズ町田とディーセントワールドの二者間における諸契約事項締結の前提条件として結ぶものである

第1条(協定の目的・原則)

 ウィズ町田とディーセントワールドは、互いに独立した法人であるが、前文の経営移行の目的と経緯を尊重し、それぞれの事業目的を達成するために、互いにその経営責任を果たすとともに、法人・事業所間の円滑な協力関係の構築に努める。

スワンの事業は、平成18年11月にウィズ町田が経営する知的障害者小規模授産施設を母体に障害者自立支援法に基づく就労継続支援事業A型及び就労移行支援事業としてスワンカフェ&ベーカリー町田店を開設したのが始まりです。(お店のオープンは翌平成19年1月です)

A型事業所としては、東京都内で2番目の設置となりました。利用者は、主にウィズ町田の就労支援センターらいむの登録者からの
採用となりました。1年目の定員は10名でしたが、A型の利用希望者は、やはり多く、2年目からは定員を15名に拡大しましたが、定員超過の年が続きました。

すべての利用者に最低賃金を支給する一方で、一人あたりの労働時間を週20時間に定め、できるだけ多くの希望者を受け入れるワークシェアリングをおこなうとともに、「もっと長く働きたい」「もっと給料がほしい」という利用者の人には、らいむとの連携のもとに、企業等への就労移行支援をおこなってきました。(平成25年9月末までに、11名が企業等に就労移行を実現)

就労移行支援事業所としては、当初は、青果市場内の企業に出向して、実践的な職業訓練をおこなっていました。2年間の利用期間の中で、企業等への就労移行を果たすというミッションに真摯にとりくむことで、これまで(平成25年9月末まで)に、延べ32名の利用者を企業等の就労につなげてきました。

2号店のA型事業所は、平成24年3月に指定申請を受け、同年5月に店舗をオープンさせています。最初の定員は10名。(同年10月からは、15名に拡大)この2号店の利用者の採用からハローワークに求人票を提出し、募集をかける方法に変更しました。(1号店A型も同時に同じ方法に切り替え)1号店と同様に、最賃保障と就労移行を2本柱にとりくみ、これまでに、すでに3名が就労移行を果たしています。

1号店のA型は、一番多かった年度には、年間3,300万円の売上がありましたが、ここ数年は、厳しい状況が続いています。開設当初、時給719円だった東京都の最低賃金も平成24年度には850円になり、この10月からは、869円に引き上げられます。

2号店のA型も開設後に、主力職員がいたし方ない家庭の都合で退職を余儀なくされ、現場に混乱が生じたことや、売上の伸び悩みにより、やはり開店以来、厳しい状況が続いています。

1号店の就労移行支援事業所は、就労移行というミッションを真面目に果たした結果、平成23年度には、定員15名に対して、利用者現員が、4名にまで落ち込み、年間で1,000万円もの赤字を計上してしまいました。

B型と変わらない公費で最賃保障を求められるA型。就労移行のミッションを果たせば果たすほど、自分の首を絞めることになる移行という、制度の不備や矛盾はありますが、スワン事業に関わる職員として、「まだまだ自分たちがやらねばならないことがあるはず」と、この間、努力と試行錯誤を続けてきました。

具体的には、売上を上げるために、営業日を増やしたり、外販先を積極的に拡大したり、また、月ごとに、売上目標と延べ利用者数の数値目標を立て、達成状況をチェックし、対応策、改善策を考え、実行することなど。
結果、今年度上半期のスワン事業は、いくつかの反省点を残しながらも、何とか収支バランスが取れるところまで、立て直すことができています。

「いくつかの反省点」と記しましたが、それらが今回の経営移行と関連しています。ウィズ町田という大きな組織の中で、職員の意識のずれや、それに伴うモチベーションの差が知らぬ間に生じてしまい、歯車がうまくかみ合わないような感覚に特にスワン事業に関わる職員が強く陥ってしまったことです。

ウィズ町田が法人のCIとして掲げた「ディーセント・ライフの実現」をめぐって、共通言語化やベクトルの重ね合わせが十分でなかったこともあります。そうしたことから、ここで、経営を分かち、それぞれが本来、果たすべきミッションをきちんと果たしていこう。それぞれが、目標とするものの実現に向けて、持てる力を集中して注ぎ込むことのできる体制をつくっていこう。という結論(新法人設立による経営移行)に至りました。

一般社団法人ディーセントワールドは、10月1日から、まず、次の事業を経営します。

スワンカフェ&ベーカリー町田1号店(就労継続支援事業A型及び就労移行支援事業)

スワンカフェ&ベーカリー町田2号店(就労継続支援事業A型)

ウィズ町田も、ディーセントワールドも「ディーセント・ライフの実現」をめざすという目標は同じです。ディーセントワールドが、具体的に考える「ディーセント・ライフ」の目標と、果たすべきミッションは、ILO(国際労働機構)が21世紀の世界全労働者の目標として掲げた「ディーセントワーク=働きがいのある人間らしい仕事」の実現をめざすことです。

そのために、最低賃金を保障し、障害のある人の経済的自立を支えることと、スワンをファーストステップにして、福祉の世界から一般の社会へ巣立ってもらう就労移行を積極的に応援していきたいと考えています。

1940年にアメリカ公開された映画「チャップリンの独裁者」(日本公開は1960年)は、ヒトラーとナチズムを大胆に批判し、ヨーロッパにおけるユダヤ人の苦境をコミカルながらも生々しく描いたヒューマニズムあふれる映画です。ラストを飾る6分間の演説には、チャップリンが全世界の人々に伝えたかった切実な思い・願いが込められいます。

その中に、次の言葉があります。

Let us fight for a new world,a decnt world that will give men a chance to work,that will give you the future and old age and security.
(新しい世界のために、皆に働く機会が与えられる若者に未来が、老後に安心が与えられる当たり前の正解をつくるために、闘おう)

一般社団法人ディーセントワールドの名前は、「ディーセントワーク」を実現することをめざす決意を表すためにチャップリンのこの言葉からもらったものです。

ウィズ町田という職員数100名を超える大きな船からディーセントワールドというわずか10名の小さな船に乗り換えて、今日からまた大きな海原に漕ぎだしていきます。

大きな船で航海する海も、小さな船で旅立つ海も海は同じ海ですから、立ちはだかる困難も同じです。ひとりひとりの気持ちの持ちようが今まで以上に問われます。

どうぞ、これまでと同様にスワンカフェ&ベーカリー町田1号店、町田2号店の事業・活動にご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

一般社団法人ディーセントワールド

代表理事    天野 貴彦
 理事     守屋 良治
 理事     竹内 広美
 理事     糀谷 誠晃
 理事     石本 晃久

スワンカフェ&ベーカリー町田1号店
スワンカフェ&ベーカリー町田2号店
スタッフ・利用者一同

 

 


Copyright(C) 2009 hande. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system